大江健三郎氏の『定義集』を読みました

 本書は、2006年4月から12年3月まで、月1回、『朝日新聞』文化欄に連載されたエッセイを単行本化したものです。
 連載期間は、2005年9月11日の「郵政選挙」で自民党が38%の得票率で総議席の62%の296議席を獲得した半年後から、09年8月30日の「政権交代選挙」で民主党が42%の得票率で総議席の64%の308議席を獲得した時期を経て、東日本大震災と福島原発事故の1年後までです。
 氏は、06年7月の「子供じみた態度と倫理的思考力」で、ブッシュ大統領の脇でギターを弾き、靖国神社を参拝する小泉元首相の人格を「子供じみた」と喝破し、民衆に悲惨が残ると、警鐘を鳴らしています。10年8月の「被爆国の道義的責任とは何か」では、広島の平和記念式に出席した数時間後の記者会見で、管前首相が「核抑止力は、我が国にとって引き続き必要だ」と発言したのを「発言には一貫しないところがあり、しかもその矛盾をもたらしている根は深い」と批判します。
 ことし2月の「いま小説家のなしうること」は、「私はいま日本人の本質的なモラルとは、次の世代を生き延べさせるべくつとめることで、すべての原発を廃止する決意を示すのがその始まりだと考えます」と結んでいます。
 また、連載期間中に逝かれた「9条の会」の呼びかけ人である小田実氏、加藤周一氏、井上ひさし氏との交流と優れた業績をしのぶ、真情あふれる追悼の文も収録されています。
 本書には、ノーベル賞作家の文学的な営為を中心に、息子、夫、父としての真情、社会的な発言と行動などが綴られており、私は氏への尊敬の念を深めました。
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プロフィール

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〇1949年旭川市永山生まれ 
〇正和小、明星中、旭川西高、宇都宮大学卒業  
〇家族 妻、2男(札幌と横浜に在住)、猫4匹(ねず、とら、みけ、ぎん) 
〇趣味 昆虫の観察と研究。ジョギング。
〇写真は、「さようなら原発全道1万人集会」(2012年10月13日。1万2千人が参加)の会場で写したものです

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