「資本主義の終焉」と題する本を読みました

水野和夫氏の『資本主義の終焉と歴史の危機』という本です。

書名にひかれて手にしました。

興味深い歴史も紹介されており、読みものとしても、おもしろい本です。
 
賛同、共感できることもたくさんあります。

①まず、何が資本主義の基本的矛盾か?ということです。

水野氏は、「資本主義のもつ固有の矛盾とは、資本の自己増殖のゴールを決めていない、資本主義の定義自体にあります」と述べます。

マルクスは、「資本主義的生産の真の制限は、資本そのものである。というのは、資本とその自己増殖とが、生産の出発点および終結点として、生産の動機および目的として、現われる」と述べました。

水野氏とマルクスは、「利潤最優先こそ、資本主義の矛盾・制限」とする点で、一致しています。

実は、「マルクスのこの叙述が、マルクス(=科学的社会主義の経済学)による、資本主義の基本矛盾の指摘である」ということが、明らかになったのは、ごく最近の2011年ことです。不破哲三氏が明らかにしました。

②資本主義の基本矛盾が、人類と地球の前途を脅かすということも賛同できます。

水野氏は、「資本主義は、エネルギー危機や環境危機という人類の存続を脅かす負債も残そうとしているのです」と述べます。

③グローバリズムへの当面の対処策も、一致しています。

日本共産党は、グローバリズムからの人びとの被害を軽減するために、2000年以来「多国籍企業への民主的規制」を提唱してきました。

当時、「われこそ構造改革の本家」と競い合っていた他の政党からは、「国際間の金融取引を規制するなど、できっこない」と言われたものです。

水野氏は、「G20が連帯して、巨大企業に対抗する必要があります。・・・法人税の引下げ競争に歯止めをかけたり、国際的な金融取引に課税する仕組みを導入したりする。そこで徴収した税金は、食糧危機や環境危機が起きている地域に還元する」と述べています。

④労働・雇用問題でも賛同します。誰かさんのように「岩盤規制を打ち砕くドリル」などと、後先を考えないことは、言いません。

水野氏は、「労働時間の規制を強化して、ワークシェアリングの方向に舵を切らなければなりません」「私自身は、非正規という雇用形態に否定的です。・・・労働規制を強化して、原則的に正社員としての雇用を義務づけるべき」と主張します。

⑤アベノミクスと、そのブレーンたちへの正確・辛辣な評価にも共感します。

私は、アベノミクスのブレーンたち(マネタリスト、リフレ論者)は、実体経済と国民生活を認識せず、「デフレは貨幣現象」だと誤認している、愚かな人たちだと思います。

水野氏は、昨今の日本政府の経済財政政策を、「倒錯日本」「日本を政治的・経済的焦土と化してしまう」と喝破しています。

⑥マルクスへの高い評価にも、敬服します。

水野氏は、マルクスを、ダンテやシェイクスピア、アダム・スミス、ケインズとともに、時の絶対権力や資本主義の暴走にブレーキをかけた、偉大な経済学者・思想家として、高く評価しています。

水野和夫氏は、マルクス経済学者ではありません。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト、内閣府大臣官房審議官、内閣官房内閣審議官などを歴任し、現在は日本大学国際関係学部教授です。

巻末には35点の参考文献が紹介されていますが、マルクス経済学の文献は皆無です。

「資本主義の終焉」を指摘する水野氏は、同時に、「その先にどのようなシステムをつくるべきなのかは、私自身にもわかりません」と、率直に言われます。

私は、当面は「多国籍企業への民主的規制」、その先は「生産手段の社会化」が、必要なシステムだと思います。

そして、地球上の資源の有限性を直視しつつ、「価値・利潤の実体は、モノではなく人間の労働」だということを、しっかり把握することが大切だと思います。

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プロフィール

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〇1949年旭川市永山生まれ 
〇正和小、明星中、旭川西高、宇都宮大学卒業  
〇家族 妻、2男(札幌と横浜に在住)、猫4匹(ねず、とら、みけ、ぎん) 
〇趣味 昆虫の観察と研究。ジョギング。
〇写真は、「さようなら原発全道1万人集会」(2012年10月13日。1万2千人が参加)の会場で写したものです

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